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ドラマチックな写真 [写真]

マグナム・フォトスのHPを見つけました。ロバート・キャパのphotographを見ていて、その中の懐かしい写真に見入ってしまいました。以下で検索出来るかな?

http://www.magnumphotos.com/Archive/C.aspx?VP=Mod_ViewBox.ViewBoxZoom_VPage&VBID=2K1HZOYXSPBSG&IT=ImageZoom01&PN=95&STM=T&DTTM=Image&SP=Album&IID=2S5RYDWV0ZLH&SAKL=T&SGBT=T&DT=Image

実はこの1枚の写真が、今の私の職業を決めたと言えるものです。

今から32年ほど前の事です。ある雑誌のインタビュアーのような仕事をしていた私は、1人の写真家に会いました。その人から見せられた写真の中にこの1枚がありました。他にも沢山のすばらしい写真を見せて頂いたのですが、ものすごくインパクトが強かったのがこの1枚です。

1944年8月18日、パリ解放の時の一コマ。ドイツ兵との間に生まれた子供を抱きかかえた女性が、頭を丸められて町から追い出されようとしている場面です。周囲の市民達はドイツ兵と仲良くした女に悪罵を浴びせているようです。前を黙々と歩くのは彼女の田舎から迎えに来た父親でしょうか。その胸の内やいかに。

侵略した軍の1兵士と恋に落ちたのか、あるいは周りの人々の「生活を支えるため」親しくしたのか…事情はわかりません。しかし、大きな写真で見るとこの女性の表情は決して泣きうなだれていません。毅然として己の運命に責任をとっているかのようです。

占領下で苦しい生活を強いられた町の人々にとって、この女性の所行は許し難いものだったのかも知れません。しかし、それを誰が責められるというのでしょうか。キャパのレンズはしっかりとその「不条理」を捉えて克明に人間社会のドラマをえぐっているのです。写真の力の凄さを感じた1枚です。

この写真の場面にインスピレーションを得たに違いない映画がありました。クロード・ルルーシュの「愛と哀しみのボレロ」です。ドイツ兵と仲良くしていた女を「密告」する女達の醜悪さがにじみ出ていました。「戦争」が生み出す悲劇とその傷痕が癒される日は来るのでしょうか。

私の身近にはなかったけれど、米軍占領下の日本でも似た様な事情は数多く生み出されていたはずです。米軍兵士と仲良くなり色んな物的支援を受けた女性達の話は聞いた事が有ります。蔑視を込めて「パンパン」と呼ばれた女性達がいたのです。

この写真を見て初めて、私にとってそれまで趣味で撮っていた写真がガラリと変わった様な気がします。今仕事で撮っている写真はこんなドラマチックな写真ではないけれど、しかし写真の持つ力、人にとっての意味においては大差がないのではないか、と思っています。
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